内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました

「えっ！」

　目を丸くした千絵は、次の瞬間真っ赤になって、ポカポカと叩いてきた。

「な、なんてこと言うのよ」

「だってどうしても欲しかったんだ。千絵と僕の子ども」

「悠……」

「嘘をついてでも、千絵を手に入れたかった。そうでもしないと、千絵は僕との間に境界線を作って歩み寄ってはくれないと思ったからね」

　ギュッと千絵の肩を抱く。

「それなのに、逃げちゃうし」

　だから、君が消えたとき、どれほどショックだったか。

「千絵を探しに守が紫Violaに来て、紫Violaの店長が、守に僕の話をしてくれたおかげだよ」

「そういえば店長がものすごく喜んでくれた。幸せにねって」

「いい人だよね、店長。守っていうヒントだけ、ちゃんと僕にくれたんだ」

　振り向くと、千絵は潤んだ瞳で僕を見ていた。

「悠……、本当に無理してない？」

「なにを？」

「なにもかもだよ。本当にいいの？　私……」

「千絵、僕は千絵と晴太がいればなにもいらないんだよ」