内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました

「ハル、これあげる」
「はいこれもー」

 悠の双子の兄妹は、晴太を気に入ってくれたらしい。

 最初こそ遠巻きにしていたけれど、晴太が車のオモチャで遊び始めると、自分たちが使っていたオモチャをどこからか持ってきてくれた。

「六歳にして、叔父さん叔母さんか」
 お父さまが笑う。

 お母さまも優しい笑顔で見守ってくれて、私の緊張も少しずつほぐれてきた。

「千絵、大丈夫?」
「大丈夫だよ」

「ちょっと、父と仕事の話してるね」
「はーい」

 今日、私たちは初めて家族で神林家に来た。

 悠がシルKUに戻る日が決まった。
 副社長ではなく、しばらくはつくばの研究所担当の役員という立場らしい。

 なにやら悠は燃えている。
 一見すると、いつもの落ち着いた彼だけれど、私にはわかる。

 シルKUの未来のために、何事か企てでいのだろう。シルKUを愛する彼は本気だ。
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