内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました

 このお邸に来たのは、私は正確に言うと二度目だけれど、晴太は本当に初訪問だし、私がお母さまや双子に会うのも初めてである。

「よかったわ。みんな元気そうで」とお母さま。

「すみませんでした。心配かけて」
 私が頭を下げると、お母さまは「いいのよ。まあ色々あるわよね」と、私の肩に手を掛けた。

 優しい微笑みにホッとする。

「それで、結婚式は決まったの?」

「あ、はい。でも、本当にいいんでしょうか……。いきなりで皆さん驚くのでは」

「気にする必要ないわ。どうせ滅多に会わないもの」

 私が神林家の嫁として、一族に御披露目される日が決まったのだ。私たちの結婚式である。

 親族だけを呼んでの結婚式で、問題はその後の会食だと思う。私は正直テーブルマナーも覚束ない。悠に教えてもらったりはするけれど、悠は私に甘いのでちょっと心配なのだ。
 
 悠いわく。
『一回で全部済ませちゃえば楽でしょ。失敗しようがなんだろうが心配しなくていいから』

 私は腹を決めたから、悠の決定には付いていくと決めた。
 やるからには精一杯がんばりたい。

 とはいうものの、右も左もわからない。
 この家だって、何人住めるのっていうくらい大きくて、生活習慣も、ちょっと想像つかない。

 挨拶するだけって言っても、その挨拶すらどうしたものかと悩みは尽きないのだ。

「あの、お母さま。お願いがあるんですが」

「はい?」
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