内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 どういうわけだか、するすると嘘が出てくる。

 悠とならいい。しかもそういう理由なら、お互いに重荷にならずに済むし。

「ピルも飲んでるんだ」

 言いながら脳裏を過ぎる〝子ども〟の文字。

 嘘のその上に希望が見えた気がした。
 私の家族という夢――。

 子どもさえいれば。いっそ、悠の子どもなら。

 そのためならなんだってできる。頭の中は悠とのセックスでいっぱいになった。

「しよう、セックス」

 淡々とした瞳で私を見つめた悠は「じゃあちょっと待ってて、部屋を取ってくるから」と微笑んだ。

「うん」

「その間にもう一度考えて。ダメなら帰っちゃっていいから。その時はこの話は忘れてまた普通に会おう」

「わかった」

 悠はスッと席を立った。

 私はグラスの中のワインを一気に飲み干し、大きく息を吸って、瞼を閉じた。

 今から私は一夜だけのビッチになる。

 そして、夢を手に入れるんだ。

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