内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 店長は綺麗なものへのこだわりが強く、美人やイケメンにも目がない。お客さまなのだから、悠を知っていれば記憶に残っているはずだ。

「シルKUの副社長ってご存知ですか?」

「もちろん。シルKUでうちが使ってもらえるのは彼のおかげだもの」

 えっ?

「それってどういう意味ですか?」

 店長の説明によると、悠はふらりと店にやってきて花束を注文し、完成を待つ間に話の流れでシルKUの今の仕事を頼んだのだという。

「活きている花を置いたほうがロビーが華やぐからってね。あそこの受付、もとはカウンター脇に観葉植物置いただけだったのよ」

「そうだったんですね」

 悠が偶然この店来て、数年後、また今度は私が偶然セキュリティーカードを拾って。

「なに? 副社長がどうしたの」

「あ、いえいえ。さっき見かけたんですけど、随分若い人だなって驚いて」

「若さにも驚くけど、あの顔とスタイルがね。彼はいいわ」

 あはは、やっぱりね。

 悠はちょっとやそっとのイケメンじゃない。

 ものすごいイケメンだから。

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