内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 でも悠だっておかしい!
『悠、初めてじゃないでしょ、うますぎる』って言ってみたら『わーい、上級者に褒められた』と茶化すし、もう。

 そればかりか幾度となく絶頂に導かれてしまった私を『上手にいけたね。さすがビッチ』とからかってくる。

 悔しいけれど、あいつのほうが一枚も二枚も上手だ。

「はぁ」
 さて、どうしたものか……。

『千絵……』
 甘い声、唇の感触。脱いだら意外なほど逞しい悠の裸。

 あー、どきどきする。

 でもまさか、恋じゃないよね?

 これはそういうんじゃなくて、体に刻まれた快楽的なものからくる胸の高鳴りだよね?
 うん。違うよ。絶対に恋なんかじゃない。

「千絵さーん。また意識飛んでますよー」

「あ、ごめんごめん」

 ヒサ君に指摘され、慌てて切り花の下処理に戻る。

「ここんとこ、ずーっと、心ここにあらずじゃないですか」

「悩める年頃なのよ」

「そーですかー。だけど、ハサミ持ってるときは集中してくださいよー」

「はーい。すみません」

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