内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
「彼女に似合うものを何着か、見繕ってもらえますか? ワンピースとか上着とか。それとダウンジャケットも」
「はい。わかりました」

 なによその頼み方。値札を見てから買うんじゃないの?

 近くにある服のタグをそっと覗けば、数える気も失せるほどゼロが並んでた。
 悠は自分でも、選んだ服を私にあてたりして楽しそう。
 私はもう、ため息しかでませんが。

 あれやこれや試着して。
 悠が「それはちょっと」とか「うん、いいね」とか言いながら、結局、ドレスアップして出掛ける時用のセットアップと、普段着用のダウンジャケットや、上着ににパンツ何着かを買ってもらった。

 すごい荷物だし、もう全部でいくらかなんて、恐ろしくて知りたくもない。

「悠、買いすぎだよ。もらうばっかりになっちゃう」

 せめてカレーじゃなくて、A5ランクのシャトーブリアンとかにしようかな。それでもとても及ばないけれども。

「気にしないで。おかげで勉強になったよ。千絵が着替えている間に最近の売れ筋とか話をしたりね」

「そうなの?」

「うん。勉強になったよ。まあでも、その代わりと言っちゃなんだけど、今夜も泊まってもらわなきゃな」

 え……。もしかして、またはめられた?


 そう。私はまんまとはめられたのだ。

 じゃなければ、こんなふうにまたベッドでイチャイチャなんてしているはずがないもの。

「あっ……、ゆ、悠」

「ん?」

 私の胸に吸いついている悠は上目遣いで、唇を離さずに妖艶な瞳を向ける。

「ね、ねぇ。よ、よくないと、思うの」

「なにが?」

 会う度にこれじゃ。

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