内緒の出産がバレたら、御曹司が溺甘パパになりました
 微かに苦笑する彼女にそう言われて、初めて気づいた。
 なぜ知っているのか疑問に思うのは私だけじゃない。彼女も同じだったのだ

「シルKUのイベントで、お見かけしましたので」

「ああ、そうでしたか。それなら、私と悠さんの関係もご存知なのね」

「縁談があると……」

 彼女は肯定するようにうなずいた。

「そうです。私はこのお話受けようと思っています」

 やはりそうか。

「その件で、あなたにお聞きしようと思って」

 そこまで言って彼女は届いたカプチーノに手を伸ばした。

 さあ、いよいよだ。

 その前に私も聞きたい。

「あの、なぜ私に?」

 どうやって私の存在を知り、なぜ私に聞こうとしたのか。色んな意味で疑問を解決したい。

「父が、人に頼んで悠さんの身辺調査をしたんです。それで、仲のよい女性がいるようだと」

 なるほど、探偵を雇ったわけですか。
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