地味子、学校のイケメン二人と秘密の同居始めます!
 「あの、いやこのそれは空き巣とかではなくてですね・・・」
 「あ?お前、もしかしてストーカー?」
 「違います!」
 私がストーカー!?
 ないないないない!
 恋愛的な意味で好きな人ができたことがない私がストーカーだなんて!
 どれだけ拗らせた人生を歩んできたそんなことになるのよ!
 ああ、事態がどんどんややこしくなっていく・・・。
 「それって、もしかして合鍵?俺か晶の鍵を盗んで作ったのか?」
 「なわけあるか!」
 しまった!
 大音量でタメ口でツッコんでしまった!
 口にしてから慌てて口を両手で抑える。
 もう遅いけど。
 案の定、黒江魁吏の目つきが鋭くなる。
 私、もう死んだかも・・・。
 ・・・ん?
 今、何かすごく重大なことが聞こえた気がするぞ?
 「俺か晶の鍵」とは?
 え、ええ?
 「つか、邪魔だからどけよ」
 「あ、はい」
 完全に思考がフリーズした私はカチコチに固まったまま素直に黒江魁吏に従ってしまった。
 って、そんなことしてる場合じゃない!
 「え、えっとあの!」
 「あ?」
 うっ、なんと威圧感のある一文字。
 「あ」の文字にこんなに怯んでしまったことはこれまでに一度もない。
 「あなたは、こちらのお家にお住まいで・・・?」
 「何いってんだよ、ストーカーしてて合鍵も作ってるのにそんなことも知らねえの?頭おかしいんじゃねえのか?つか、合鍵返せよ」
 だからストーカーでもないし、勝手に合鍵を作ったわけでもないんだって!
 キレイな整いすぎている顔が、更に怖さを助長させている。
 というか・・・。
 「ここに住んでいるんですか・・・?嘘ですよね・・・?」
 「本当にお前なんなんだよ。いい加減にしねえと警察呼ぶぞ」
 嘘じゃないの・・・?
 伯母さん、説明求むなんですけど。
 黒江魁吏がここに住んでいて?
 そして私もここに住んで?
 え、待って本当に意味がわからない。
 「警察だけはやめてください!」
 「ならとっとと帰れよ」
 私の帰る場所がここなんだよ!
 なんで入居前に警察に捕まらないといけないの!?
 「あの!」
 「マジでウゼェんだけど」
 「私、今日からこの家に住むんです!」
 「はぁ?お前、妄想のしすぎで本当に頭おかしくなったんじゃねえの」
 「ですよねー・・・」
 すんなり信じろって方が無理な話だよね、本当に。
 私だって信じたくないし。
< 10 / 143 >

この作品をシェア

pagetop