地味子、学校のイケメン二人と秘密の同居始めます!

 そして、待ちに待った初デート当日。
 誰かに一緒に家から出ていくところを見られたらまずいから、待ち合わせ場所を設定して時間をずらして家を出た。
 魁吏くんが先に出て、五分後くらいに私も家を出る。
 「絢ちゃん」
 玄関で靴を履いていると、後ろから晶くんに声をかけられた。
 くるっと後ろを振り返る。
 「どうしたの?晶くん」
 「初デート頑張って。知っているとは思うけど、魁吏不器用だから」
 「あ、あはは・・・」
 里穂に晶くんに私に、あらゆる方向から魁吏くんって不器用だって思われてるよね・・・。
 本当はちゃんと優しいんだから、それを表に出したらもっとモテるのに・・・。
 いや、モテちゃダメだ。
 今は私の恋人なんだから、これ以上モテられたら困る。
 いよいよ血祭りが始まっちゃうよ。
 「じゃあ、いってらっしゃい」
 「いってきます!」
 晶くんに見送られながら、外に出た。
 一人で歩いていて誰にも見られてないから、どうしても足が弾んでしまう。
 魁吏くんに見られてたら、恥ずかしくて絶対できないけど。
 ご機嫌だったからか、待ち合わせ場所までの移動時間が一瞬に感じられる。
 魁吏くんとの待ち合わせ場所に指定したのは、ショッピングセンターの近くにあるコンビニ。
 魁吏くんから、『中に入ってる』って連絡が来てたので私もコンビニの中に入った。
 ドアが開くときに電子音が鳴って、その音に反応して店員さんが「いらっしゃあせー」となんともやる気のない声を出した。
 魁吏くん、どこにいるんだろう・・・。
 コンビニ内を探すと、魁吏くんは飲みものを売っているショーケースの前に立っていた。
 「魁吏くん、お待たせ。何か買うの?」
 「いや、いい」
 「そう。じゃあ、早速いこっか!」
 何も買わないで出るのは気がひけたので、魁吏くんに待ってもらってのど飴だけ買ってコンビニを出る。
 「・・・・・・」
 「・・・・・・」
 ・・・会話が、ない!
 いつもって、何話してたっけ?
 魁吏くんの顔をそっと見上げてみると、特に何も思ってなさそうな普通の顔だった。
 よかった、不機嫌になったとかではないみたい。
 そのまま特に何も会話もなく、ショッピングセンターに到着して二階にあるシネマまで移動する。
 休日ということもあって、人が多いなぁ。
 はぐれちゃったら、大変だ。
 そんなこと考えていると、急に魁吏くんが私の手を握った。
 しかも、いわゆる『恋人繋ぎ』と呼ばれる繋ぎ方で。
 おおお、恋人っぽい・・・!
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