地味子、学校のイケメン二人と秘密の同居始めます!
 部屋の中には、ベッドに座る私と床であぐらをかいている魁吏だけが取り残される。
 その間、私の心臓はうるさいくらいに早鐘を打っていた。
 ユリと晶が・・・・・・別れる?
 見間違いじゃ、ないよね?
 もしかして、いやもしかしなくてもさっきの私の言動が原因だよね・・・?
 しかも、さっきにスマホのロック画面の文字を見る限り別れを切り出しのはユリのほう。
 晶は、ときに毒になるくらい優しい性格をしているから、無理矢理にユリを引き留めることはないと思う。
 なら、晶とユリの別れは目前・・・?
 晶に申し訳なく思う気持ちはあるけど・・・心の奥底で、本当に奥の奥の奥で嬉しく感じてしまう自分を認めざるを得ない。
 ・・・だめだ、だめだだめだだめだだめだだめだ。
 こんなことばっかり考えてたら、自分がどんどん醜くなってきてしまう。
 どんどん嫌な奴になってきてしまう。
 ・・・・・・でも、私がああやって二人に近づく女子を攻撃すれば女子は二人から離れていくのかな。
 そうすれば、二人は私のところに戻ってきてくれる・・・?
 相も変わらず黙りこくってる私に向かって、魁吏が尋ねてきた。
 「なあ、なんで怒ってるんだよ」
 「・・・・・・どうせ、魁吏にはわからないよ」
 数拍おいたあとに、私の口から出たのは可愛げの『か』の字もない言葉。
 せっかく、魁吏が私のことを気にかけてくれたのに。
 あーもう・・・・・・私って、なんでこんなに素直じゃなくて可愛げがなくて情けなくってどうしようもない人間なんだろう。
 せめて、女の子らしい性格だったら・・・。
 ・・・そう、ユリみたいにふわふわおっとり癒し系のマシュマロみたいな女の子だったら。
 今更自分の性格を嘆いたって、どうにもならない。
 しばらくして、部屋を出て行った晶が帰ってきた。
 暗い表情でうつむいて晶は、再び魁吏の隣に腰をおろした。
 晶の様子からして、晶とユリが別れたのは間違いない・・・よね。
 私は慌てて、魁吏と晶に顔を見られないようにうつむいた。
 なぜなら・・・私の口角は私の意思とは反してありえないくらいに上がってしまっていたから。
 なんで、なんでなんでなんでどうして・・・どうして、こんなときに私は笑っているんだろう。
 にやけているんだろう。
 これは絶対によくない状況なのに・・・。
 ・・・・・・まあ、二人が戻ってきてくれたらなんでもいっか。
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