太陽のヒカリ(短編)
『あっ…』
視線の先にはずっと会いたかった人…
あの日、泣いていたびしょ濡れの私に優しく声をかけてくれた
橋本太陽……くん…
彼は私に気付く様子はなく反対側のホームに立って電車を待っていた。
今しかない。
これは神様がくれたチャンスだ!
『あのっ!』
ドキドキする気持ちを必死にこらえて、彼の背中を見つめた。
「おお!ヒカリちゃん。」
振り向いた彼の笑顔はあの日と同じ笑顔だった。
名前……覚えててくれたんだ…
私は嬉しくて嬉しくて
きっと顔が赤くなっていると思う。
『この前はどうもありがとう。これ……』
鞄から青いタオルを取り出した。
ずっと彼の元に戻ることを待っていた洗濯されたタオルは、嬉しそうだった。