君が笑う空の下。
はじまり。



委員会が終わると、私は鞄を取りに教室へと戻る。
時計を見ると下校時刻はとうに過ぎていて、教室には誰一人残っていない。



我ながら、修学旅行実行委員会なんて面倒なのに入ってしまったと思う。



「はぁー……」


大きな溜め息をつきながら、ふと窓の外へ目を向けると、教室の窓からは同じクラスの二人が視界に入った。


夕日でオレンジ色に染まる空の下。並んで歩く二つの影は、丁度校門を出たところで彼の手と彼女の手が重なったのが見える。


二人が去年の夏辺りから仲が良かった事は知っていた。
でも、こうやって肩を並べて帰る後ろ姿を見るのは辛くて、今でも涙が滲み出る。



< 1 / 56 >

この作品をシェア

pagetop