君が笑う空の下。
ここには、女子達の話声は私の耳に届かない。
目を瞑れば、雨の音だけが私の心の中に響いた。
「何やってんの?」
突然、後ろから聞き覚えのある声が耳に入る。
はっ、と後ろを振り向くと……岩瀬 智樹が立っていた。
「あー……うん。ちょっとね」
女子部屋を後にした理由なんて言えなくて、返事を濁す。
「ふーん。ここ寒くねぇ?」
岩瀬はどうでもよさそうにそう言って、私の隣りへと腰をかける。
「うん、平気」
岩瀬は良い奴だと思う。
最初の頃は嫌味くさい奴だと思ってたけど、案外真面目だし、聞かれたくない事は聞かないでいてくれて。
なんだかんだで、私の本当の気持ちを知っているのは岩瀬だけ。