君が笑う空の下。
私が座る席の向かい側には岩瀬が座っていて、なるべく岩瀬に意識を向けないように、アンケートに集中をする。
一票二票三票……。
岩瀬の顔を見ないで手元の用紙だけに視線を向けていたのに。
「佐倉さん」
岩瀬に名前を呼ばれるだけで、ビクッと体が反応してしまう。
「……」
「悪かったな」
「なっ、なにが?」
もちろん上手く言葉を返せるわけがなく、顔がひきつり、声も裏がえる。
「その……キスして」
やっぱり夢なんかでは無かったんだ。
"キス"と言葉に出されると非常に恥ずかしくなって、顔が赤くなっていくのが自分でも分かった。
その事を気付かれたくなくて、パッと顔を下に向ける。