君が笑う空の下。
「岩瀬ー……って。わ、邪魔?」
開けたのは高根くんで。
私の頭の上には岩瀬の手が置いてある状態。
勘違いをされたという事を理解するのには少し時間がかかった。
「ちがっ」
慌てて否定するも、すでに彼の姿は教室にはなくて。
間違いなく、誤解されたと思う。
「……あー、ごめんな」
岩瀬はドアの方を見ながら、凄く申し訳なさそうに私に視線を向ける。
「後で、ちゃんと言っとくから気にすんな」
なんて、また優しい笑顔を見せた。
うん。岩瀬は優しい。
高根くんに誤解された事は、悲しいというより恥ずかしいという気持ちの方が大きかったのに。
私の傷は以前より癒えているのに。
なのに、私はその心の事実を伝えられなかった。