君が笑う空の下。


最後に、最後でいいから一言だけ話したい。



でもなんて?


"元気でね"なんて言ったら本当に最後になってしまう。

"またね"って言ったらまた会いたいみたいだし。
あれこれ考えても、結局は私に話しかける勇気なんかない。



今まで話さなくても同じ教室にいられた。

卒業したら、もう会えなくなるんだ。



そんな事で頭がいっぱいになって、喉が熱くなった。目にも涙が浮かんできて。



「わ、私トイレッ」

「先生きちゃうよ」

ジュリにとめられたけど、泣いている姿なんか見られたくなくて私は慌てて教室を出た。

廊下の隅で、持ってきたポーチについている鏡を見て。
自分の目が赤くないかチェックしていると、後ろから



「佐倉さーん」


私の名前を呼ぶ懐かしい声がした。


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