君が笑う空の下。


私の頭は真っ白で、"嘘だ"って岩瀬に文句を言ってやりたいのに。

話したいのに喉が熱くてもう言葉が出てこない。



「…うー……」


何一つ喋る事が出来なくて。涙も全然とまらない。


早く教室に戻らなくちゃいけないのに、動くことも出来なくて。



ただ、ぐっと力強く岩瀬の制服の裾を掴み続けて。

岩瀬も、泣いている私をなだめる様に。私の頭に手をのせたままだった――。


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