幼なじみの憂鬱
朝陽は一目惚れの相手について話してくれた。
朝陽は相手のことを「彼女」と呼ぶ。
まだ彼女でもないのに。
だから私も「彼女」と呼ぶ。
彼女は朝陽と同じクラスで、出席番号順の席が朝陽と前後だという。
プリントを回そうとふと後ろを振り向いた瞬間、朝陽は落ちたというのだ。
恋に。
彼女は特にかわいくもなく美人でもない。
大人しい感じで、他の女子みたいに気合を入れて化粧をしたり制服を気崩したりもしない。
飾り気のない、目立たない女の子。
だったら、一体どこに一目惚れしたというのだろう。