幼なじみの憂鬱
朝陽は6歳の時、小学校に入学するタイミングで私の家の隣に引っ越してきた。
朝陽のお母さんが引っ越しのあいさつに来たとき、私もその場にいたんだけど、当時、今では信じられないくらい人見知りだった私は母親の陰に隠れて母親同士の会話を聞いていた。
朝陽のお母さんの声に耳を澄ましているうちに、私の耳はどんどん大きくなる。
なぜかどきどきどきと心臓が早く鳴りだす。
そして、
「朝陽と凪咲ちゃんは幼馴染みになるのね。よろしくね」
隠れていた私を気遣ってかけてくれたその言葉に、私の目が大きく見開かれた。
__あさひ……。
その名前に、心が奪われた。
その名前に、運命を感じた。