幼なじみの憂鬱
幼なじみの憂鬱3.掃除当番
「はあ……」
朝陽は今日もため息をついている。
ああは言っていたものの、「あいつ」こと、「かつみ」との関係は良好そうだ。
あいつの話をする朝陽は楽しそうだし、時々けなしたり毒づいたりするけど、それも面白半分、冗談半分。
本気はゼロだ。
「悔しい」と言ったあの日、あの顔の朝陽を、私はもう忘れかけていた。
それなのに、今日はまた激しく落ち込んでいる。
ため息の種類も、明らかに落ち込みのサインだ。
「何?またため息?あいつとなんかあった?」
私の質問に、朝陽は何も答えない。
その代わり、うつろな目を私の方にゆっくりと向けた。
「あのさあ、うちの学校のテニス部の本田って知ってる?」
「本田?」
テニス部で「本田」と言ったら、もうあの人しかいない。