幼なじみの憂鬱

自分の好きな人と同じ人を友達が好きになるって、どんな感じなんだろう。

朝陽とあいつは、一体どんな学校生活を送っているんだろう。

あいつは朝陽が彼女を好きなこと、知っているのだろうか。

いや、知らないから好きになったのだろう。

それとも、知ってて好きになったのだろうか。

どちらにしても、朝陽としては苦しい学校生活を送っているに違いない。

積極的にアプローチしたり、相手よりも先に告白してしまおうとか、絶対無理だし絶対考えないような男だ。

それでもあいつとは同じクラスで、同じ部活で、朝から放課後までずっと一緒にいる。

彼女も同じクラスにいる。

同じクラスの中に出来上がる、目に見えない微妙な三角形。

その中に1日放り込まれたら、そりゃため息もつきたくなる。

悶々として頭がおかしくなって、授業どころではない。

その証拠に、最近の朝陽の成績はすこぶる良くないらしい。

勝手に聞こえてきた母親同士の会話の中に、朝陽の深刻な憂いを感じずにはいられなかった。


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