幼なじみの憂鬱

今夜は、何百年に一度しか見られない流星群が見られるらしい。

別に天体ファンとか、星とか宇宙に詳しいわけじゃない。

ただ、そういうめったにないイベントごととかニュースとかってワクワクして好きだ。

しかも夜中。

誰も起きていないような静かな夜に向けて準備するのって、楽しい。

コットンとウールの靴下を重ね履きして、裏起毛パジャマに、もこもこのポンチョを羽織って、厚めのひざ掛けを腰に巻いて、準備は万端だ。

こういうイベントごとにはだいたい朝陽を誘うんだけど、今回ばかりはそんな気になれない。

朝陽も誘われたところで迷惑だろう。

流星群が一番多く流れるとニュースで言っていた午前3時ごろに合わせて、私は外に出た。

午前3時はお化けや幽霊が出る時間って聞いて、「そんな時間に絶対トイレに行きたくない」と当時は思っていた。


__「でもそう思っているときに限って、トイレのタイミングって午前3時なんだよね」


と言ったのは、その話を一緒に聞いていた朝陽だった。


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