幼なじみの憂鬱
幼なじみの憂鬱7.告白

「はあ……」

これは、私のため息。

眠れなかった。

3人の間を行きかう矢印が絡まって、私の頭の中をぐちゃぐちゃにしていた。


朝陽は彼女のことが「好き」

朝陽とあいつは「友達」

あいつは彼女が「好き」

彼女はあいつが「好き」

朝陽と彼女は……何だろう。


友達? 

クラスメイト? 

好きな人の、友達? 

友達の、好きな人?


__私と朝陽は……。


私は四つに折りたたまれたルーズリーフを取り出した。

もう何度見返しただろう。

ルーズリーフはすっかりボロボロになっていた。

「幼馴染み」を消した私たちの名前の間に、矢印はなかった。

その代わり、消しゴムで何度も消した跡が、そこの部分を真っ黒にしていた。

ルーズリーフを睨んで、思い悩んだ末にシャープペンをとった。

そして、もう何度書いたかわからない矢印を、お互いから一本ずつ、丁寧に出した。


朝陽は私のこと……「?」

私は朝陽のこと……。


昼休みになっても、放課後になっても、いつも同じ場所が「?」と空白のままだった。

教科書を見ても正解は書いていない。

先生はこういうことには答えてくれない。

誰だったら教えてくれるんだろう。

何を見たらわかるんだろう。

数学のベクトル問題を解くのと変わらない難しさ。

ただ、私から朝陽に伸びる矢印の空白部分にだけ、シャープペンの芯先で付けられた小さな点々が無数に残されていた。

何度もそこに書きたそうとした言葉。

それに、私はとっくに気づいてた。



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