幼なじみの憂鬱
朝陽のため息が始まったのは、学校で「思春期」という言葉を習った頃だった。
「はあ」とため息をつく朝陽に、「ああ、これが思春期なんだね」なんてからかったのを今でもよく覚えている。
その矢先、私は園田家を出禁になった。
「年頃の女子が、年頃の男子の家に上がり込むなんて不謹慎だ」
朝陽にそう言われて。
私たちの定位置がフェンスを挟んだあっち側とこっち側の階段である理由は、実はそれも関係している。
男女が不用意に近づくのは、朝陽にとってよろしくないらしい。