ヨルガオ-午前0時の逃避行-
由良くんは、夜闇に溶け込みそうな落ち着いた声をしている。
低いというよりは深い。
なのに、余計な音があってもクリアに届くから、いつだって変わらない灯台の光のように道標となって導いてくれる。
そんな声が、掠れるような弱々しさを持った。
「お前見てると心配」
「……ごめんなさいっ」
「謝るな」
「……っ」
唇を噛んだ。
また謝りそうになってしまったから。
だって、それ以外の言葉が見つからない。
心配をかけてしまっていることには薄々気づいていた。
じゃなかったら、朝送ってくれたり、帰りに迎えにきてくれたりしないもの。
それに対するお詫びの言葉しか出ない。