ヨルガオ-午前0時の逃避行-
……ううん、違う。
その前に聞こえてきた言葉になんて反応していいかわからないから、誤魔化そうとしているんだ。
しかし、そんな私の戸惑いが彼に伝わった。
「悪かったな」
「え……?」
由良くんは、するりと腕を緩めて起き上がった。
まるで、一連の行動はなんでもない、と言うかのように……。
由良くんの背中が寂しそうに見えたのは、きっと私の気のせい。
……それでも。
このままなかったことにしてはいけない。
私は、由良くんのシャツを掴んで、ベッドを降りようとする彼を引き止めた。
「私、ここにいていいの?」
「……いいよ」
「邪魔じゃない……?」
「うん」
聞き間違いだと思った言葉を口にすれば、肯定を示す返答があった。