ヨルガオ-午前0時の逃避行-
由良くんとの同居が始まって、数日。
同居といっても、自分の家と由良くんの家との往復生活だから、半同棲と言う方が正しい気がする。
のはさておき。
朝、鏡に映る私の顔は不服そうにしている。
とても歯を磨いている最中とは思えない表情。
ジト目の先には、洗面台に置かれたヘアゴム。
……男の人ってヘアゴム使うの?
少なくとも、うちのお父さんは使わない。
由良くんが使っているところも見たことがない。
……なら、これは誰の?
どうしてだろう……。
若い塾の先生(男)の家にみんなで押しかけたときは、女物のヘアスプレーがあっても気にならなかったのに、由良くん相手だとヘアゴムですら気になってしまう。
私は由良くんの彼女でもなんでもないのに。