ヨルガオ-午前0時の逃避行-
怒ってはいないんだろうけど、無表情って何を考えているのかわからない。
「お名前、なんて言うですか?」
せめて名前くらい知りたい。
何も知らないのは、夜の海みたいに怖いから。
「由良」
「由良さん……。苗字ですか?名前ですか?」
「名前」
「由良さんは何歳ですか?」
「……つーか“さん”はやめて。あと敬語も」
「えっと……じゃあ、由良くん……は何歳?」
「18」
私の2歳上……⁉
大人っぽいからもっと上だと思った。18歳でこの色気は恐ろしいなぁ。
「あんたは?」
「私は光莉って言います。16歳です」
「うん、さっき聞いた」
あ、そっか。年齢は言ってた。