ヨルガオ-午前0時の逃避行-
由良くんもそういうことだよね?
つまり由良くんは、少なくとも私を異性として意識して身だしなみを気にした。
「これ、返すね。私に気にしないで使って」
「笑われたあとで使えると思う?」
「もう笑わない。だから、あまり私に気を使わないでほしい。お世話になってる身としては、いてもいなくても変わらないと思っていただければ」
由良くんにもそういう一面があって、ほっとする。
でも……。
完璧に、とはいかないだろうけど、なるべく以前の生活を維持してほしい。
私が来たことで由良くんの生活に遠慮が起きるのは嫌だから。
私はあくまで居候。
その辺の分別はわきまえないと。
「お世話、ね……」
由良くんは、そう呟きながらヘアゴムを受け取った。