ヨルガオ-午前0時の逃避行-

空はオレンジと紫のコントラストを描き、まもなく寒色が支配する──放課後。


図書室で調べものをしたあと、スーパーに寄ってから由良くんの家に行くと、もうそんな時間になっていた。


ポケットから鍵を取り出す。


『バイトでいないときもあるから』と渡してくれた、由良くんの家の合鍵。


深い意味はない。

わかってはいても、あの由良くんがプライベートな空間を預けてくれたことにどうしたって喜びは隠せない。


受け取ったとき、

『一生預かるね』と言ったら『怖ぇわ』と言われた。


冷静になって思い返せば……うん、確かに怖い。

というか、重い。



そんなことを考えながら鍵を開けて入ると、家は真っ暗だった。


確か、今日は昼から夜までバイトだって言ってたっけ。


誰もいない家に帰るのは慣れているとはいえ、寂しさがないわけじゃない。

それは自分の家でも由良くんの家でも変わらない。

< 111 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop