ヨルガオ-午前0時の逃避行-
空はオレンジと紫のコントラストを描き、まもなく寒色が支配する──放課後。
図書室で調べものをしたあと、スーパーに寄ってから由良くんの家に行くと、もうそんな時間になっていた。
ポケットから鍵を取り出す。
『バイトでいないときもあるから』と渡してくれた、由良くんの家の合鍵。
深い意味はない。
わかってはいても、あの由良くんがプライベートな空間を預けてくれたことにどうしたって喜びは隠せない。
受け取ったとき、
『一生預かるね』と言ったら『怖ぇわ』と言われた。
冷静になって思い返せば……うん、確かに怖い。
というか、重い。
そんなことを考えながら鍵を開けて入ると、家は真っ暗だった。
確か、今日は昼から夜までバイトだって言ってたっけ。
誰もいない家に帰るのは慣れているとはいえ、寂しさがないわけじゃない。
それは自分の家でも由良くんの家でも変わらない。