ヨルガオ-午前0時の逃避行-

「…………かり……」


誰かの声がする。


「……ひかり…………」


私が呼ばれている。


夢、じゃなくて、本当に呼ばれてる……?


ぼんやりする意識が徐々に感覚を取り戻す。


テーブルに伏していた頭を上げたとき、私を呼んでいたのが由良くんだとわかった。


「由良くん……!おかえり」

「ただいま」


いつ帰ってきたんだろう。


……ていうか私、何してたんだっけ?


確か、ご飯を作って……、由良くんが帰ってくるのを……そうだ!

宿題をして待っていたんだ。


それでそのまま寝ちゃったのか。


テーブルには、宿題のプリントと教科書が広がっている。



「由良くん、今帰ってきたの?」

「うん」


スマホで時間を確認すると、9時を迎えようとしていた。

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