ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「もしかして何か食べてきた?」
由良くんは首を横に振った。
「よかった。あのね、私」
「光莉」
まるで遮るように私の名前を呼ぶ由良くん。
その顔は、いつもの涼しげな表情とは少し違った。
何がどうとは上手く説明できないけど、わかりやすいのは眉を寄せているところ。
……困っている?
「晩飯作ったなら連絡入れろよ。ずっと待ってたんだろ?」
「うん……。でもほら、私が勝手に作っただけだし。なるべく邪魔したくないから」
「そうやって気使われるのすげぇやだ」
「……っ」
「俺、面倒見るとは言ったけど、お世話してるつもりはねぇから」
「……?」
「お前を傍に置いておきたかったから家に置いてるだけ。居候とかお世話になってるとか考えるな。普通にしててくれ」