ヨルガオ-午前0時の逃避行-
バイクに乗ろうとしてふと、私は動きを止めた。
先に跨ってバイクのバランスを保持する由良くんが首を傾げる。
「どうした」
「……」
「……?」
「由良くん……」
「なに?」
「バイクの後ろに女の子乗せたことある?」
不意に気になった。
あたかも自分の特等席のようにいつも気にせず乗っていたけど、そこに私以外の女の子、もしくは女性を乗せたことがあるのだろうか、と。
想像できちゃうんだよね。
由良くんの腰に手を回す女性の姿を……。
「あるよ」
「あるの⁉どんな人?」
「どんな人って言われても……」
言葉を濁しながら私を指差した。
「……私?」
「光莉以外、乗せたことねぇよ」
え、そうなの……?
それは予想外。