ヨルガオ-午前0時の逃避行-
澄ちゃんと
『かっこいいね』『いくつだろう』
『50くらいかな』『もっと若いんじゃない』
声を潜めて話したのを覚えている。
なんだか、そのときの視線に似ている気がする。
「決まった?」
「……っ、ううんまだ」
由良くんの問いかけに我に返る。
急いでメニューに目を通した。
注文を取りに来た店員さんはお仕事モードに戻して、
「ご注文を繰り返します」ときびきび言う。
仕事と私情を分けられる人らしい。
注文を取り終わった店員さんが去り際、ちらっと振り返ったのには見て見ぬふりをしてあげよう。
料理が運ばれてきて、食べ始める頃にはもう視線が気にならなくなった。