ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「お会計1400円でございます」
1時間弱滞在して、席を立った。
入ったときは満席だった店内が、気づけば半分が空席になっていて、結構時間を潰したんだなと実感する。
お会計をするために財布を取り出そうとポシェットに手をかけたとき。
お仕事モードだった店員さんが、最後の最後でその顔を崩した。
「お兄さん、かっこいいですね」
恍惚とした表情。
店員さん、感情がだだ漏れです。
「もしかしてモデルさんですか?」
「違います」
店員さんのアタックもなんのその。
由良くんはスマホを取り出し、電子マネーでさっさと会計を済ませた。
一切表情を変えることなく、目を見ようともせず、適当にあしらって受け流す。
慣れているのかな。