ヨルガオ-午前0時の逃避行-

彼女です!と嘘でもいいから自信を持って言いたい。


女の直感が告げる。

釘を刺しておけ、と。


バチバチと火花が散るような腹の探り合い。

きっと当事者にしかわからない。


でも言わない。


マウントをとるようなものだし、彼女でもないのにそんなことを言ったら由良くんが困るだけだから……。


なのに。


「うん、そう」

「⁉」


由良くんが肯定した。



「やっぱり。じゃあ今まで由良が女に興味を示さなかったのって、彼女がいたからなんだ」

「え、でも、彼女いないって言ってたじゃん!」


わいわいがやがやと騒ぐ彼らを余所に、私は由良くんを見る。


斜め後ろから見る由良くんのお顔は相変わらず綺麗で……。

ってそうじゃない。


由良くんがこの場で嘘をつく理由がわからなくて、戸惑いが隠せない。

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