ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「じゃ、帰るわ」
「うちで食べていけば?」
「腹減ってないからいい」
ひと言挨拶をして、店を出た。
滞在時間、約5分。
入るときは気づかなかったけど、看板に
ランチ 11:00~15:00(LO 14:30)
ディナー 17:30~24:00(LO 23:00)
と書かれていた。
今の時間は、ランチとディナーの間。
だから、『今の時間なら大丈夫』だったのか。
「悪かったな」
階段を上りきって、由良くんがぽつりと呟く。
「利用させてもらった」
「……?」
「あいつ、しつこかったから」
そこまで言われてやっと気づいた。
悪いと言ったのは、彼女だと偽ったことに対して。
そして、どうして嘘をついたのか。
言うなれば、言い寄られて困っていたから私を利用した、ということだろう。