ヨルガオ-午前0時の逃避行-
由良くんなら意識せずとも彼女ができそうなのに、今、彼女がいないのは、意志があるように思えてしまう。
彼女はいらない、という……。
「作らない」
「……」
「つーか、一生作る気ない」
「……どうして?」
「俺には必要ないから」
私の考えは当たっていたわけだ。
それも、酷く冷めた現実も一緒に突きつけられて。
隣を歩く由良くんの無表情は相変わらずだった。
でも、いつもより影を落としているように見える。
例えるなら、濃紺に黒を滲ませた、みたいな……。
混ざり合った色に嫌悪感を示すがごとく、私は彼から目を逸らした。
触れてはいけない、と。
由良くんのためじゃない、自分のために。
これ以上の冷酷な現実はいらない。