ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「そういう夫婦の形もあるんだな」
由良くんが呟いて、会話が止まる。
不思議と沈黙を嫌だと思わない。
私は1対1のときの沈黙が苦手なタイプ。
というか、得意な人はあまりいないと思う。
気にならない人はいるだろうけど、私はすごく気にしてしまう。
何を考えているのかなとか、つまらなかったかなとか。
沈黙したら、話題を探して頭を巡らす。
だけど、由良くん相手だとそれが気にならない。
取り巻く空気が、沈黙さえも落ち着く。
なんで海に連れてきたの?
どうしてバイクに乗っているの?
聞きたいことはいっぱいある。
でも、声に乗らない。
今はこの静寂を噛みしめよう。