ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「訊きたいことは山々だけど……とりあえず、光莉は何か買ってくる?」
「あ、そうだね……」
ここは、カウンターで注文して商品を受け取ってから席に着くタイプのお店。
何も買わないで居座るのは図々しい。
なので、私はミルクティーを注文して、再び席に戻った。
ひと口啜って、口の中に甘さを取り入れる。
2人も来たばかりなのだろう。
前に置かれたドリンクが大して減っていない。
私がストローから唇を離したのを合図に、澄ちゃんが口を開く。
「先に紹介するね。彼が」
「澄花の彼氏の柊哉です。よろしく!」
想像通りの明るい声で自己紹介する柊哉くん。
特に第一印象から変化はないけど……。
リングのピアスをすることが多い澄ちゃんが、今日は控えめなスタッドピアスをしていて、同じものを柊哉くんもつけている。
疑っていたわけじゃないけど、彼が彼氏であることに間違いはないらしい。