ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「由良くんが、その……総長?ていうのは、わかったですけど……」
言葉からも動揺が隠せない。
わかったって言ったけど、全然わからない。
それでも訊きたいことがあった。
……どうして。
「どうして由良くんは、さっき……逃げたの?」
柊哉くんを見たとき、逃げるように帰っていった。
まるで、会いたくない、みたいに……。
どうしてそれほど拒絶するんだろう?
「チームを解散させたのが由良さんで……たぶん、昔のことは忘れたいから俺に会いたくないんだと思う。こうなることがなんとなくわかっていたから、事情を話さなかったんだけど……騙したみたいになってごめん」
「いえ……」
柊哉くんが、乾いた口を潤そうとアイスティーを流し入れた。
それにつられて私もミルクティーを啜る。
甘味が口一杯に広がって、頭も冴えるような気がした。