ヨルガオ-午前0時の逃避行-
由良くんは暴走族の総長だった。
でも、チームを解散させて、仲間の前から姿を消した。
今までその片鱗を見せたことがあっただろうか。
バイクに乗っていることくらい?
夜にあてもなくバイクを走らせるとか。
……ああ、面倒見が良いなと思ったことがあった。
でも、どれも暴走族の総長に繋げるには無理がある材料。
出会ったそのときに魔法にかけられてしまった私が、その考えに行き着くわけがない。
「由良くんのこと……憧れの人だって」
下げた視線を戻して、遠慮がちに口を開く。
「うん!由良さん、すげぇかっこいいんだよ」
柊哉くんは目を輝かせた。
「見た目もそうだけど、中身もかっこいい。クールだけど、それが却って……なんて言うの?背中で語る!みたいなさ。由良さんは、言葉でみんなをまとめるというよりは、行動でついてこさせるタイプだったんだよね」