ヨルガオ-午前0時の逃避行-

1時間ほど居座って、カフェを出た。


「光莉はこれからどうするの?」

「帰ろうかな。由良くんが気になるし……」


帰ると言って出ていった由良くんへ送ったメッセージに返信はない。


本当に家に帰ったのか定かではないけれど、あれほど動揺した由良くんを放ってこのまま2人と遊ぶ気にはなれない。



「光莉ちゃんって由良さんの家で暮らしてるんだよね?……由良さんは今」


柊哉くんは言い淀んで。


「……いやなんでもない。由良さん、元気にしてる?」

「うん」

「そっか、よかった」


『由良さんは姿を消した』と柊哉くんは言った。

つまり、由良くんの行き先を知らないわけで。


彼はそれを聞きたかったのだろう。


だけど、私から言えることは何もない。

と彼自身も察したみたいだった。


2人と別れて、私は駅に向かって歩き出した。



< 150 / 267 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop