ヨルガオ-午前0時の逃避行-
「うん……でも、由良くんは本当に嫌みたい」
「そっかー」
あれから2日、由良くんは恐ろしいほどいつも通り。
相変わらず笑みを浮かべない涼しい顔。
だけどたまに、柔和な眼差しを見せる。
間違いを見つけろと言われても見つけられないほど変わらない。
それが却って、本当に触れられたくないのだとわかった。
だから私も今まで通りいるけど……。
違和感がないと言えば嘘になる。
「昔のことはもう……っ」
「……っ」
澄ちゃんが会話を切った。
不自然なほどぷっつりと。
そして、私も口を噤む。
2人の間に流れる沈黙に緊張が走る。
視界に入ってきたのは、道の脇に停車する車。
その傍らには、3人の男が立っている。
パッと見で入ってきた視覚情報は、色褪せた黒色の車のボディに白色のステッカーが貼ってあるのと、3人のいずれからも刺青が見えていること。