ヨルガオ-午前0時の逃避行-
その不審者はすぐに捕まったけれど、しつこく聞かされた言葉はしっかり頭にこびりついている。
だけど、相手が元より自分に用があって、それが逃げても敵わない集団の男だった場合はどうすればいい?
「オトモダチは黙ってな」
「きゃっ!」
「澄ちゃん!」
行く手を阻む男の手が澄ちゃんを突き飛ばした。
そして、駆け寄ろうとする私は別の男に捕まり……。
「言うこと聞いてりゃ手を出さなかったんだけど」
「っ!……離してっ!」
車のドアが開いて、連れ込まれる。
「やだっ……!離して!」
「うるっせぇな」
「光莉!」
「澄ちゃ……っ」
私は口を塞がれ、澄ちゃんは再び突き飛ばされて……。
必死の抵抗は、少しの時間稼ぎにもならなかった。
バンッとドアが閉まると、車は無情にも走り出した。