ヨルガオ-午前0時の逃避行-
中途半端に下りたシャッターに、車体に貼ってあるステッカーと同じ龍のマークが赤色のスプレーで書いてある。
横には〈昇龍〉の文字。
……しょうりゅう?
その名前が何に対してつけられたのか。
倉庫の中に入って、なんとなく察してしまった。
数台のバイクと5人の男たち。
私を連れ去った3人も含めて、ここにいるのは全部で8人。
昇龍は、彼らにつけられた、言わばチーム名なのだろう。
それも、ただのチームではなく……暴走族。
「由良は?」
「これから呼び出す」
男は、私を適当な場所に座らせた。
そして、奪った私のスマホを差し出す。
「由良を呼べ」
「……」
「早くしろ!」
「……っ」
スマホを受け取って、でも私の指が動かない。