ヨルガオ-午前0時の逃避行-
怖くて震えているのもそうだけど、由良くんに助けをもとめてはいけないと私の本能が直感している。
由良くんはもう過去を捨てた。
なら、彼らに会わせてはいけない。
「……や、です」
「あ?」
「いやです……。由良くんに何をするつもりですか?」
男はもったいつけるように一度、口を閉じる。
にやり。
そして、口を開けた。
「ぶっ殺すんだよ」
その言葉に血の気が引く。
でも、それならなおさら呼ぶわけにはいかない。
「いいからさっさと電話をかけろ」
「……っ」
首を振って対抗する。
とそんなときだった。
ブーブー……。
手に持っていたスマホが震えた。
画面に映し出された〈由良〉の文字。
最悪のタイミングだった。