ヨルガオ-午前0時の逃避行-
アイジはこの倉庫の場所を伝え、一方的に電話を切った。
「由良が来るまで大人しくしてろよ」
「……っ」
その辺のパイプと手首を紐で繋がれ、いよいよ私は身動きが取れなくなった。
この人は力加減がわからないの……?
叩かれた頬だけじゃなくて、手首も。
強く縛られた紐がめり込むように痛い。
「……っ…………、……っ」
恐怖のせいか、激痛のせいか。
嗚咽が止まらない。
そんな私を放って賭け事に興じる彼らが酷く不気味に見えて、恐怖心がかき立てられる。
由良くん、来ないで。
私に、関係ないって言ったよね。
だから、来ないよね。
……そう思うのに。
来てほしい。
助けて。