ヨルガオ-午前0時の逃避行-
本当に私は人質の価値があるのだろうか。
由良くんを呼び出すのに利用されたけど、由良くんにとって私は助ける価値がある人間?
……ないと思う。
でも、由良くんはきっと放っておかない。
だから私は、価値がないのに由良くんの弱みになってしまっている。
「あの、由良くんはもう、暴走族じゃないです」
「……だから?」
「だからもう……」
手を出さないでほしい。
──言葉にできなかった。
というのも、続く言葉を勝手に読み取られ、男が口を挟んだから。
「関係ねぇよ。由良と杏樹はぶっ殺さねぇと気が済まねぇ」
杏樹……?
初めて聞く名前。誰だろう?